轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ねこすてざか

猫捨坂

豊島 与志雄

「新文学」1948(昭和23)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,043 字 · 21 页

青空文庫

だが、行き倒れみたいな女が、その足先の捨て仔猫といっしょに、いつしか姿を消してしまったことについては、俺と全く無関係なことではあるが、心にちょっと冷たい風が吹く思いだ。この思いを、地下室は嘲笑いはしないだろう。

地下室の中の死体は、あの焼け爛れた死体も、アルコールの中にぶかぶか浮いてるだろう死体も、病院に買い取られた無縁のものではあっても、嘗ては誰かの血縁の者であった筈だ。その血縁のつながりが、つまり人間のつながりが、深夜になって囁くのだ。

「早く行け、早く行け。」

怪談ではない。悲しい遣る瀬ない心の囁きなのだ。いずこかへ姿を消した行き倒れの女も、同様に囁く。

「早く行け、早く行け。」

あの仔猫でさえも、同様に俺に囁く。

どこへ行ったらよいのか。――俺は死にかけてる母のところへ戻っていった。姉が万事みとってくれるので、俺はただ側についておればよい。

母は疼痛を訴えることが少なくなった。医者は逆に、危機が近づいたと言う。もう苦悩の力さえ失ったのであろうか。痛々しくて見ておられない気持ちだ。

見舞客もすべて、玄関の三畳での応対だけで帰って貰う。この三畳は、俺たち一家と二階の一家との共通のもので、いわば両家の応接室だ。