轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
「改造」1937(昭和12)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,310 字 · 35 页
おさやは、物も云わずぴしりとそっちを閉め、右手の唐紙をあけ直した。そこに仏壇があった。仏壇の内には吊り燈明があるが、火の用心のためにふだんはそれをつかわず、電燈から豆電燈がひきこんである。それをねじって、今度はともかくその前に坐り、同じように活気のあるせわしさで鐘を二つ鳴らした。数珠を左手の先にかけて、南無南無と称え、ここでも、
「あーッあ」
と抑揚をつけて頭を下げる。
おさやは台所の土間の方へ向って、そこで水仕事をしているお縫に声をかけた。
「まだ帰っちゃこまい?」
「まだです」
「あ。――ちごうたか? 正らすぐききわけてどこの車か当てよるが、私にゃてんと分らん」
「さア……ちがうようにもあるが……」
遠くの角で聞えたクラクソンにつられて、お縫が店先へ見に出た時、一台の乗用がもう暗くて見えない砂塵を捲きあげながら村道を走りすぎた。
「まアええ。きょうはどうで八時じゃろ」
夕飯の仕度はすっかり出来あがって、土間は六畳から射す鈍い光に照らし出されている。トラックを運転して働きに出ている二人の息子達が戻らないうちは、晩飯にしなかった。二人より先にお縫に湯に入れというものもないのである。