轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
「改造」1937(昭和12)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,310 字 · 35 页
この家も、つい先頃まではいつ競売になるかもしれない状態で十五年間住み荒されて来ているのであった。
坂口の爺さんは店へ出たが、すぐ帰るのでもない。煉炭火鉢へあっち向きに蹲んで、うまくもなさそうに煙草をふかしている。
けたたましく警笛をならしながら、乗合自動車が白い埃を巻きあげて通りすぎた。濛々とした埃はだんだんしずまって行きながら店のガラス戸にぶつかり、明るい昼過ぎの日光に舞いつつ土間へも入って来る。この往還は国道だが、幅は四五間しかない。定期がとおるようになってこのかた、塵埃と泥濘のしぶきとは容赦なくどこの家のガラス戸にもこびりついた。家々はそれを拭くことなどを別に考えず暮しているのであった。
うしろから陽をうけて、紺セルの上被りの肩や後毛のさきについたこまかいごみを目立たせながら、おさやが店の土間へ入って来た。店の畳の上にいる坂口の爺さんには別に挨拶もせず、活動的な調子を張って、
「お縫さ、お縫さ」
と奥へ向って呼んだ。
「これ、晩に和えようじゃあるまいか、懸けといてつかあせ」
持って来たちさの籠をお縫にわたした。そして、
「どうでござんす。いいところ儲かっちょりますか」