轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
「改造」1937(昭和12)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,310 字 · 35 页
お縫が伯母の手伝いに来ていて貰う月いくらかの手当てが、一家の事情ではまんざらどうでもいいものでないのだけれど、順平の気風は、お縫に向っても、あア場所へ出て見い、女子だかてきょう日二十や三十の金はポンポンとっちょる! と云わせた。その話しぶりは闊達で生気があったから、その雰囲気に馴れているお縫には、坂口の爺さんのとりなし万端がいかにも山の中の小百姓らしいしみったれ工合に映るのであった。
お縫は、褪めた潮染の身ごろをひろげながら、眼頭にあるちょっとした黒子のために却って大変表情的な顔を動かして、坂口の爺さんの方を折々見た。
爺さんは、お縫など眼中にないふうで、市況放送がすむと、むっつりした面持のまま罫紙を畳の上からとりあげ、自分も体を起し、それを懐にしまって、隣りの部屋へいって、ラジオを消した。庄平が、また枕の上から白眼の目立つ上目で見上げたが、坂口の爺は二十年来のその組合仲間に声もかけず、それなり店の方へ出て行った。小柄な爺の体が運ばれるだけでも庄平の寝ている畳は一足ごとにひどく軋んだ。そこら一帯は田圃の埋立て地でたださえ地盤がゆるい上、線路が近くて、汽車の通るたんびに土台からゆすられる。