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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

寿が一つつれてゆくそうですが。では一寸御免なさい。玉ネギをジリジリとやっておひるにします。

大した長ひるで、ここの間に一日半経ちました。仔犬は一匹貰ってくれるそうです、昨夜はおつかれでしたろう。どうもいろいろありがとう。(つまりもうけさは十五日なのよ)詳細な準備でおつかれになったことと思います。又すぐ書きますから、この前便はここまででおしまいね、お疲れをお大切に。ニンニクをよく召上れ、食事の間にのみこむと楽ですが、どうかしら。ニンニクは本当によいから。

九月二十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

九月十八日(月)

おひるを、いつかお話したパフパフ(覚えていらっしゃる?)ですまして、『風に散りぬ』第二巻をよんで居りました。二時までそうしていて、あと二階で荷物ごしらえに働くプランで。ところが一寸かきたくなりました。

けさ運送やが来て、成城への荷物出しました。こんどのには、竹早町のおばあさん[自注12]のくれた机、白木の座右においていた書類入箱、低い茶色の折りたためる本棚、字引台、チャブ台、等。これでもう三回目なの。はじめリヤカー一台、二度目三台、今回、きょうあす。