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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

(ここまで書いたら立たなくてはならないことになりました。島田から小包が届いたのよ。太郎があがって来て、「治とかいてある上に達とあるよ、子供達の達」と報告いたしました、さあ行って見なくては)

とんだいい紀元節で、大人も子供もホクホクです。送って下すったもので。メタボリンもたっぷり来ました。岩本さんが買ってくれた分の由。一ヵ月も留守をするからその前に当分間に合う丈薬や何かお送りしておきましょう。この節一ヵ月留守するというと、あとに大変気が配られます。一ヵ月というものを、只三十日と考えることが出来ないから。

きょうは、これでなかなかいい日になったのよ。さっき裏の画伯が来て、川越の先の部屋[自注2]かしてくれるということになり、これも大安心です。島田へ行く前にそちらへ引越ししておいて、そしてゆっくり行けますから。こっちへ一応の単位を揃えておくつもりです、机その他本棚も。第一、あなたのふとん類おくところが出来て、何と気が楽でしょう。二十日すぎに見に行きます、そして、すぐ荷を運んでおいてね。わたしもここにともかく場所が出来、目黒の先の大岡山に寿江の室をこしらえ、まあどっちへ行ってもいいことになって気がのびます。