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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

そこで、こうして静心でいる次第です。わたしもいくらか修業出来たというものでしょうか。

今年は又スペイン風邪大流行の由です。どうぞ、どうぞお大事に。わたしは経験があるから大きらいです。大いに注意して、かからずにしのごうと思います、一家総倒れになりがちで、ね。いつも、そういう大流行のときは看護婦はなし、薬はなし、というのがつきものです、規則正しく早くねて、冷えないようにしてカロリーカロリー。ね。

営養読本は、来週中にかえして貰います、かりたひとは先をうつして返すのですからすこしゆとりをつけました。

『同盟週報』は毎週土曜日発行ですね、どうかしら、半年も払っておきましょうか、毎週きっちりつい行きかねますから。

『外交時報』は又神田ででもないと駄目らしいわ。この次の火曜日かえりによりましょう、隆治さんに本を送る中に、何か一寸可愛いものを入れてやりたいから。それも買いがてら。この頃は実に何もなく閉口ですが、神田に井上という美術専門店があって、そこにはちょいと愛嬌のあるものがあります。

きょう『同盟週報』の一月一日号買えました。面白いというのもいろいろの程度ですが、これからお先に一目失礼いたすことにいたしました。