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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
03 一九三六年(昭和十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,453 字 · 101 页
寧ろいやね。紹介をしてあげるのがせきの山です。そう話した。そしたら「そりゃそうだね」と高笑いをして居た。嬉しいときの高笑いは本当に高笑いね。勉強のことなど話しました。
今、スエ子が慶応から退院してかえって来ました。赤痢の疑いとイ者は云ったが、実はそうでなかったのですって。糖尿が悪化すると下痢をつづけてそのまま昏睡してしまいになることがあり、万一スエ子がその初りでは大変ということであったのだそうです。いい塩梅に糖も減っている由です。つやつやして、よく眠った顔をして「お姉様どうした?」と入って来た。これで一〔中欠〕
この間あなたが書いていらしたように全く生活のための健康であるということを深く会得しているから、自分のことについても、あなたのことについても、出来得る最上をつくしつつ心痛はしないでいるのですが、気になる。気にかかる。これはやむを得ないことです。そして、ああ私は決して病気などするようであってはならないと思うのです。一層つよく。生活のための健康なのだからね。二人の生活のための。私は目下温泉保養の決心をして、やすくて閑静なところを調査中です。栄さんとゆくために。