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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

03 一九三六年(昭和十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,453 字 · 101 页

青空文庫

何ともっともっと喋りたいでしょう。では又。お体をお大切に。呉々もお大切に。

附録一枚

国民美術協会から『中條精一郎』が出版されます。そのことは申しましたが。――

この十五日が締切りで、私は「父の手帖」「写真に添えて」「家族抄」など四十枚ばかり書き、寿江は「父」三十枚ばかり、咲「お祖父様」を少々、国男も何か書きます。来年一月三十日は一年祭です。その折までに出来るのだそうです。これは御覧になれるから大変楽しみです。咲きょうけんそんして「いらない原稿紙があったら下さい」だって。もちろん私はよろこんで、半ペラの新しいのを一綴進呈いたしました。

十二月十七日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

十二月十二日  第二十三信

この手紙では林町の生活のことを主として書きましょう。

事務所は依然八重洲ビルにあり。名称も元のままですが、主体は曾禰氏が主です。ところがこの老博士は今年八十四五歳であり、君子であり品格をもった国宝的建築家でありますが、現実の社会事情からは些か霞の奥に在る。ために国男はじめ所員一同具体的な生活的な面で安心して居られず、という有様です。