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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

ユリよよく眠れ。よくうまがって食べろ。楽しめ、笑え。そして俺のこともよく心配しろ、と。

ほほう、私は大分アンポンの本性を露出していますね。でも、私自分ひとりで、私が元気でいればそれは貴方もよろこんで下さると納得させて居切れないのです。ホレ、しっかりして、とおしりの一つもぶって下さい。

この間うち一日一枚のエハガキをはじめたのだが、御覧になっていますか? 甚だ心もとなし。ではこれから仕事(『報知』月報)の準備にとりかかります、お大切に、お大切に。

八月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 国府津より(封書)〕

八月二十四日 国府津  第二十六信。こういう書簡箋が出て来たので。

きのうは、実に実に珍しい大雷雨でしたが東京はどうでしたろう。ああ降る! 降る! と白雨煙るのを眺め、そこの屋根に沛然と雨の注ぐ気持を考えたけれど、降ったでしょうか。天と海上との間に火の柱が立った。はじめての見もので壮大、かつ恐しかった。こういうときの雷は地軸をゆるがすという形容そっくりです。裂ける如し。

時評を書いています。あと二回で終る。今度は、むくみも引いたしよく眠るし成績はようございます。