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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
一種の美しさがある。勿論今でも時々かんしゃくは起しなさるらしいが。ずっと床についていらしても大きい骨格で、広い厚い肩で、その肩を私が自分の胸いっぱいに受けて抱えてあげたりしていると、何だか錯雑した二重うつしのような優しい感動を覚えます。骨格は、あなたはお父さん似でいらっしゃるのね。
明日あたり、多賀子さんと野原へゆきます。この次来るときにはどうなっているか分らないから。海岸へも行って見ましょう。
海岸といえば、ゆうべ虹ヶ浜の話が出て、何とか家のくり合わせがつき、お父さんの御様子が順調だったら、夏は虹ヶ浜のあなたのいらした家でもかりておつれしたら等話しました。これはまだ全く未定です。お父さんはお后さまなしでは日が越せないし、お后さまは家がなかなか手ばなせないし。
隆ちゃんに私たちとして『早稲田商業講義録』を一年分申しこんであげました \15、広島の簿記学校へという話も出たが、そこはボキ専門で、それほどの偏よった勉強は必要ないので、マアボツボツやって行ったらいいでしょう。隆ちゃんもこの頃は段々遠慮が減って、すこしは喋るようになりました。なかなかいい子です。