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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
達、隆二人は、虹ヶ浜とかへお嫁の荷をつんで出かけました。きょうはそっちもいそがしい由。
一昨日は今度病気をなすってからはじめて腰湯をつかわせ申しました。丁度二人が午後あいたので、家じゅう総がかりですっかり洗ってあげ、さぞさっぱりなさいましたでしょう。言葉が自分ではよくおっしゃれないが、話はよくおわかりです。この間お母さんと宮島へ行った留守など、店の番をするからそこの襖をあけておけと、来る人にちょいちょい応待なすった由。段々元に近く快復なさる。夜、御飯がすむと、こたつのまわりに皆あつまって賑やかです。外へ出て見て、外が暗くてしんとしているのにびっくりする位家の中は生々としています。お母さんを見て、家の中心になる女のひとの気質というものがどんなに大切かということを感歎します。お母さんは家宝ですね。私は女の先輩として、なかなか敬服措くあたわざるところがある。理解力にしろ、生活の地力であすこ迄高めていらっしゃるのですから、実にフレキシブルです。そして労苦の中からよろこぶことを学び、その感情をなみなみと持っていらっしゃる。本当に傑作です。お父さんは、今、わきから見ていると、もう全くお后さまに依っていらっしゃる。