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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
おとといのお話で少くとももう二三日は先と思っていたのでうれしく、何だか案外早かったように感じられたが、落付いて見れば、書かれたのは七日なのですものね。
あの日、お目にかかって外へ出たら雨になっていました。そこで私は傘と一緒に持っていた黒いフクサ包から別の下駄を出して、草履をしまって、玉子のことや何か云いつけて、珍しく戸塚へゆきました。二階の大掃除をやって古雑誌が出た、面白いものが出ている。長椅子の上にのっかっていろいろ話し、御飯を食べ、それからフラフラ散歩して新宿へ出たら、丁度時間があったので「裸の町」という文芸映画を2/3見て、高野へよってかえりました。日本の映画も追々心理的なものを捕えて表現しようとしているところへ迄来ている。だが、まだまだ不十分。女の内的なものの表現が弱いのでこの作は大分弱くなっている。チャンバラでないものを作ろうとする努力に対してはこういう試みも支持されている訳です。文芸映画の陥る危険は散文的なものと映画的なものとの区分の不鮮明さですね。
タカノの店がすっかりひろがって派手になりレビュー的セットになってから私ははじめて――だから去年以来はじめて。