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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

美しい果物は万惣をも思い出させ野菜サラダの味なども思い出させました。

一昨日は、島田からかえって一仕事マア終ったしお目にもかかったし、いね公曰く「きょうはやっとホッとしたでしょう」きのうは何とあつかったでしょう。土曜日で昼迄働いた若い女の人たち数人遊びに来ているところに手塚さん市川苺をもって来てくれ、暫く皆と話し、運動ズボンを買うとか云って新宿へ出てゆきました。戸塚の二人は別々に勉強部屋をもっていることをお話ししましたかしら。妹さん夫婦が転任になって来たので近くに一軒もってその二階に鶴さんがいます。御飯はこっちの家。細君の方は二階に大体ひとり仕事するようになった。でも出入りで、やっぱり昼間はザワザワしているが。――

きょうは又斯うして霧雨で、しずかで、私にはいい日曜だが、体には全くよくない。どうか呉々お大切に。実はなどと、汗をとっていらしたところを歩いて来たりして。――夜はよくおやすみになりますか。おかゆは十日分。パン一日おきは本月中云いつけておきました。本も注文してお送りいたします。私の方は苡仁湯という漢方の煎薬をのんで、徹夜廃止で、早いときは十一時頃床に入って大いに自重して居ります。