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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
生活を創造するよろこび、それは決して単独では知ることが出来ない。樹々の枝さえ風が吹かなければあのようには揺れることが出来ないし、花粉でさえとぶことは出来ません。詩集のふるえるような美しさへの傾倒、それについての物語が、生活に一層の質実な潜精力を加えることは、まことにおどろくべき微妙さであると痛感します。
寿江子の体のこといろいろありがとう。ユリの薬も。非常に親切に調剤されて居ります。こまやかに作用します。神経の持久力のために、その鎮静のために。こういう薬が丁度適薬として発見されるに到った私の条件もうれしさの一つです。
さて、きょうは、あれから家へかえって一休みして、おひるを食べてどうしてもこの間から分らずにいる辞書をつきとめる決心をしました。又傘をさして研究社へゆきました。そして受付の女の子にたのんで、九月から本月までの雑誌を皆出して貰って、そこのテーブルで調べにかかりました。そしたら、あった。思わず雑誌を手でたたいて、笑ってしまった。九月よ。それでも大満足です、遂に見つけたから(あなたは又ソーラ、そうだと思ったという顔でしょう? 目に見える)その結果は次のようです。