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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
そちらはこの天候で風邪お大切に、咳出ませんか、明日ね、
四月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
四月六日 第三十信
四日づけのお手紙けさ、ありがとう。この頃は起きる方が新聞や郵便の配達より早いことがあります。きょうも。手紙見ておいでよと云って、丁度出がけにうけとりました。
先ず金原の本。このお手紙のと合わせ(追加注文したから)届けて来たらすぐお送りします。きょう云っていらした小説では、和田の「沃土」と伊藤永之介「鶯」など農民文学の双壁ということになって居りますから送りましょう。「鶯」はないから買って。生活派という文学を徳永直の「はたらく一家」が代表している観あり。受けみ反映の典型。
本のこと。きょうは家へかえっても思い出して、ふき出してしまいました。本当すぎて笑えてしまうということもあります。あれはそれね。私は手紙で、わかるとか、わかったとか盛に書いてくれるが、とお笑いになったように、きっと書きすぎてしまうでしょう。(あなたの仰云ったことは本当としての話です、勿論)きっと、わかるということをわからせたいと心配しているのね、こんなこともつまらないこせつきのようでもあります。