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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

ということになりますからね。お嫁さんが来たら叔母さまにはどういうようにして上げた方が一家が円満にゆくかという具体案も話してきました。そしたら叔母さまがよろこんでね、こんなにいろいろ心つけて貰ってどうして恩をかえそうやら、いまに富雄が儲けたら、一つうんとお礼をすると仰云ったので、そら又儲けたら、が出たと又本当にすこし気持をわるくして申しました。その癖は根本から改める必要があると。何を富雄さんが儲けられましょう。ねえ。儲けられないのがあたり前です。稼ぐ、そして生活してゆく。それと儲けるとはちがう、全く。富ちゃんだっていやな顔をした。この儲けるというのは、どうも島田も野原も一つの癖で、よくない。儲けにゃ、儲けて貰わにゃ。深い考えもないが何ぞというとこれが出る。そして、やはり出るのは出るだけのことがあるというわけですね、現実に。

十八日は、いつぞや私左の脚がつれてびっこ引いていましたろう? 又あのようになってしまって歩けず一日野原の家にいました。十六日に広島で非常に歩いたもので。

十九日の午後一時半のバスでかえりました。その朝お墓参りいたし、あのあたりを感じふかく眺め、お辞儀いたしました。