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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
きれいな干菓子お送りしたいと思ったらこわれるから送れませんて。そこで、懐中しること古代もちとをお送りしました。
かえって見たら、そちらから小包が二つ来ている。一つは写真、一番古いのから。段々見くらべて、最近御上京のときまでのを見ると、そこには何と生活の様々の推移が示されているでしょう。達ちゃんの出征のときのはまだそちらね。
もう一つのをあけて見たら、古くからの手紙類。一束一束見てゆき、ああと体の中を暖い、いい心持のものが流れわたるようなうれしさで、くたびれだの、眠られなかったことだの、すーと忘れるようでした。そこにおかれてあるのね。そこにおかれてある。そこにある。これは感覚に訴えてさえ来ます、一日のうちには幾度か、その視線の下にあり、そして折々ひろげられ、互の生活の全身を響かせるのであると思う。よろこびの感情や幸福感は、何と急に、思いがけない包の中などから立ちのぼるでしょう。適薬のききめとこのうれしさでゆうべは実にぐっすり眠りました。枕へ頭おっつけて、挨拶をしてあげて、自分のおでこのあたりに、紺大島の紺の匂いを感じながら。
書類についてのことは、きっと今日話があると思いますが、よくわかりました。