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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
すっかり全部とるということが徹底しましたから。昨夜速達で大泉という人の写し上中下三冊送られました。あとは出来しだい、片はじから金を払って、片はじからお送りすることにしてありますから。
『ミケルアンジェロ』は近頃での感銘ふかい本です。もうすこしで終ります、きのうは電車の中までもって歩いて。感心した点は、およみになって居るからくりかえさず。私はメレジェコフスキーがルネッサンスを書いた(レオナルドを中心として)小説を昔よんでいて濃い印象をのこされているので、その根本的な現実の姿として面白い。ブリューゲルの絵を、ベルリンの画廊で見て、あの時代の画家の中では目について離れない、その画家が語られているのも親密です。ブリューゲルの絵は、つかみかたがいかにも生活的で、色も落付いた美しさに充ちていて、上質の散文のような美です。レムブラントを詩とし、ルーベンスをゴブラン織として。
この著者は文章にも一方ならぬ苦心と注意とを払っているのがわかりますが、文章の仮名づかいのこと(音表式でゆく)どうお思いになったでしょう。作家の保守的なこのみからでなく、よんで行ってどうお思いになったでしょう、例えば「わ」