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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

こと、改めてかきたいと思います。これはなかなか面白い点であると思います、ヨーロッパの文学の中を見くらべても。もしかしたら、やっぱり『改造』につづけてかくかもしれません、話の工合によっては。

今は「藪の鶯」という花圃のかいた明治最初の婦人の小説の本質は、二十年という時代のかがみとして、女の真実の成長のためには、まともを向いたものでなく横向きのものとして出て来ているということ、一葉の完成が、旧いものの(文体と内容の)一致によって生じて居り、当時のロマンティストたち(文学界)が、その消えようとする旧いものへの魅力、自分たちにとってなじみふかい女のふるい哀苦を婦人作家がうたうということに対する一つの魅力とからめあって賞讚と支持とをおしまなかったこと、それだからこそ、哀苦もその味にとどまってしまっていたことなど。「『藪の鶯』このかた」

六月六日

ゆうべは可笑しいでしょう、くたびれて十時ごろ寝ようとして、急におやと一あわてしてしまいました。けさ、そちらに行くのだったか、水曜だか急にどう忘れして。勿論覚えていて、水曜日と思い、七日と思い、寿江子にもその話していたのですが、日記を出して例により起床、消灯、つけようとしたら、五日のところへ、大きい字で明日面会とかいてあるのです、あら、変だ、そうかしら、バタバタして、わから