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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
それはいいとして、このひとは、人間の髪の毛から調味料(?)をとるのですって。その上、何とかして髪の毛をコンニャクのようにして食べる法を発見したのですって。曰く、「それは美味しゅうございますのよ」、これには女の鈍感さがあふれていて、実にぞっとなります。髪から人間を食いはじめるということ、感じないのでしょうか。おそろしい想像がそこからのばされる、そのこと感じないのでしょうか。そういう研究にひどくアブノーマルなものがかくされている。この人は少し変で、これまで妙な手芸品を出していましたが。ひどい世の中ですね。しみじみそう思った。理髪店から刈った髪買いあげてやっているのだって。きっとそのうちの女中さんたち、年子様の髪の毛のコンニャクたべさせられるのね。
予定どおり八日に林町へゆきます。こっちへはおみやさんという(金色夜叉のような名ね)お婆さんが泊ります。私は太郎と朝一緒に出て、図書館へ行って、近いから調べるものしらべて、例の婦人作家の歴史書いてしまいたいと思います、咲枝二十一日間はいるかもしれませんから、病院に。土曜日、そちらへ行って、それから。そしてその後も、そちらのかえりにはきっとよるようにしましょう。