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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

お母さんからはさっきお手紙です。あなたからお手紙が来た、そしたらユリのもついた、本当にうれしかったというわけです。今年はあまり雨がなくて暑すぎたので体を注意して、夏は余り外出もなさらなかった由です。浴衣がけのお写真が入って来ました。河村さんの息子が姉婿のところで修業中、それがとったのですって。すこしぼんやりしている。でも、いつか林町でおとりになったのは、よそですし、すこし気がしまっていらっしゃいますが、こっちはいかにも裏庭でのお顔です。裏庭には、今年菊が咲くとのことです。お写真お目にかけましょうか。ペラリとしたのよ、一枚の。

『文芸』につづけているものも、はじめの『中央公論』のから数えると、「人の姿」20、「藪の鶯このかた」20、「短い翼」25、「入り乱れた羽搏き」32、「分流」35、となりました。一三二枚ですね。この次のが「渦潮」です。「渦潮」で大正年代は終ります。このあたりから、なかなか面白くしかし書きかたがむずかしくなります。それから昭和を七年ずつに分けて二回。百枚越すでしょうね。すべてで二百二、三十枚。「人の姿」、「藪の鶯」、二つはどっちかというと随筆風に書いているけれども「短い翼」