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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
この装幀をした画家は小堀稜威雄という人ですが、今ふっと思うのだけれど、この人が杏奴さんの御良人ではないのでしょうか(ちがうかしら。いつか小堀鞆音の子息だということ、福田君からきかされた気がしもする。そうです、そうです。鞆音の息子さんです)。この本やさん、この頃は妙な本を出版しています、小説ですが。「ジンギスカンは義経ナリ」という木村鷹太郎製の伝説が流行して、去年川端龍子がラクダに甲冑をつけてのっている義経を描きましたが、何だかそういうような傾向の小説なんか出しています。この『文芸評論』の「過渡時代の道標」は今私のかいている部分のために必読のものです。
芥川龍之介についての座談会で久米の云っているところなどでは、彼は、人のよむものは何でもよんでおけというような負けん気で古典もよんだりしたらしい風ですね。
平林初之輔が、自然科学に入口の知識をもっていて、評論家にそういう知識をもっている人の例は尠ないと云って賞めている人があるけれども、彼の人間生活の有機的な働き掛けの力を見えなかった欠点はなまじっか彼の科学性にあったわけです。そう云えば晨ちゃん[自注30]が病気再発で満二年絶対安静を云いわたされたそうです。