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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
知識人は大宅壮一の巧な表現によれば、急テンポに半インテリに化されつつある、それは本当です、作家が、そこにおらくについている。女が、ちょいといたずらをしてと云うのは、おひがんにおすしやぼたもちをつくったときの言葉です。ひどいものね、文化はこのように低下しつつあるのです。こんな母が育てる児というのはどんなでしょう。いろいろな歴史の時代を経て、人々が益※(二の字点、1-2-22)窮乏のなかから慧智を得て来うるところと、物質の乏しさ=精神の低さというところとではちがいのひどさがこわいようなものですね。
さて、これできょうのお話は終りです。
けさは喉がカラカラになりましたが大丈夫でしょうか? お大切に。ユリのかわきどうかしてとまらないのは閉口です、では。
十月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十月二十三日 第九十八信
十九日づけのお手紙をありがとう。やや久しぶりね。十日ぶりでしたから。
佐藤さんは、試験つづきで、お医者は大変ですね。あのひとも盲腸をとってから大分ましだそうです。盲腸と云えば、私はあの先生が満州からかえって来て、日どりがきまる迄何となし落付かない心持で居ります。