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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

そっちがすまないと何だかおちおち出来ない心持。おわかりになるでしょう?

鉢植は小菊な筈です。どんな色の菊でしょうか。いもの葉のようなのはペラゲアというのでしょうと思います。葉脈の色がちがうのでしょう? そんなに新しい葉を萌え立たせたというのは本当に感心だこと。恐嘆とかいてあって、思わず笑いました。よっぽど驚嘆の度のきついのだと。ユリの場合は、たしかに適切ですが。大規模で微妙な演出という表現は、実に含蓄があり芸術のセンスに充ちた表現で感服いたします。わが小説もしかくありたいと切望いたしますね。

朝晩のこと、マアこの位がいいところでしょう、九時台はなかなかね。三笠の本到着しましたでしょう? 全集第五巻の方はてっちゃんからまわせそうです、やっと。

隆ちゃんからも手紙来ましたけれども、このお手紙にかいてあるようなことは一つもありませんでした。アドレスの違いだけは書いてあったが。不思議な偶然でしたね。さぞ感慨があるでしょう。私の方へは例のとおりの文句で只いかにも忙しげですが。林町から二人へ袋送って、私は本月は休むこと前便で申しあげましたとおり。お正月がたのしめるように次の分は心がけて時間もたっぷり見て送りましょう。