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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

『図書』の良書紹介、やがて私もかきますから、そのこと思って居たところでした。誰も云いませんね、妙ね。

鑑子さんの家のこと。同感して下すってうれしいと思います。人生、幸福、そういうものに対する現実的な一つの見識であるわけですからね。女としては特に、ね。

日常の細部、それから芸術上のこのみにふれればいろいろあります。けれども全体の誠意というところから見て、やはり云えると思って。光ちゃんは大きい娘(小学校五年ぐらい)です。体が大して丈夫でないが、大変美しくて、賢い子です。

いい家庭といえば、先ず世間的な名士というのは何と凡俗でしょう。

うっかりして風邪ひかぬよう、というのには笑えました。そう? そんな顔におもえになりましたか? 光栄です。私は風邪ひかぬよう、と云われたりすると、風邪のクスリと云ったいろいろのこと思います。でも本当にきょうはすこし風邪気になりました。きのうは袷であつすぎ、きょうはこんなにさむいのですものね。どうかあなたもお大事に。あなたはうっかりして風邪ひかぬようと云われる必要は、おありにならないのかしら。

一寸ハクショ! ぐらいさせてあげたいと思います。