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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
『哲学年表』届きましたろうか。
きょう『西郷』や何か一まとめの本つきました。
冷水マサツはポシャってしまいました。どうも本年の冬はひどい風邪がハヤるとお医者は予言をしているし、もしかかったら「ホラホラ、だから」と云われそうで、今からこまったような工合です。が、マアいいわ。石炭が不足で大変こまる冬が来るというので、七十二歳のおじいさんが発企で外套ナシのデモンストレーションがはじまったのですって。特にこの冬は外套なしで、というの。日本人の気質ってこういうところがあるのね。自然に対するこういう気質と、所謂風流とを考え合わせてみると、日本の文化の何かの問題があるのです。実にそう思った。真に思意的なものは、自然への融合というところで消してしまって、ごく低い肉体の力がものを云うような面でだけ非自然に自然に対すのね。そして、このことは風流の非自然性を裏から語っているのです。
火野葦平がかえって来ました。『朝日』にかいている。一般がこまっていないということに慶賀の詞をのべています。九州辺はそう見えるのでしょうかね。その記事のとなりに米のことが熱心に出ているというような新聞です。