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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

内在的なものにたよりすぎることは芸術家にとって危険であり発達を阻みますが、自分にそこがどうやったら通りぬけられるという身幅と空間の知覚のかね合いなんかやっぱりかんにもよるのでしょう。

寿江子へのおはがきありがとう。返事を上げなければ、失礼だわねとよろこんで居りました。石ケンのこと、お送りいたします。

この頃は単衣を灰水であらっている始末です。大した石ケン不足で配給は日常の用に足りません。もしかして島田の方ですこしは何とかならないでしょうか。おついでの折お母さんにおきき合わせ下さい。あなたの御用が三度に一度あちらからみたされると大いに助かりますから。『独語文化』又きき合わせます。

岩本のおばさんが、絢子さんのところへ(結婚した)来ているとかで、うちへいらっしゃりたい由です。世田ヶ谷北沢の明石方としてありますが、明石って、大阪の明石という鉄道会社の社長か何かの娘夫婦のところでしょうか。この頃はおもてなしもむずかしいし、私はまだこんなで正直のところ気がおけますが、あのお年での御上京ですから近日中いい日を見つけて一日お出で願い何とかいたしましょう。ペンさんでも手つだって貰って。