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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
(うちに人手も不足だから)闇暮しでいるうちに泊ったりしていらっしゃるお年よりを、今の普通の条件でおもてなししなければならないのは全く辛いわね。そのお年よりの気質とものの話しかたを知りぬいているから閉口頓首、千石船もチリチリです。滑稽でしょう? 御亭主の顔にかかわっては一大事と、女房奮戦せざるを得ません。もしかしたら御一緒に山崎の周ちゃんもよんだらどうかしら。こまが合いますまいか。どうせ、うちの連中はこういう人たちでそういうお義理のおつき合いには役に立たないのだから。星出というひと、島田のお母さんの御上か下かでしょう? そこの息子が目黒かどこかの無電学校に来ていて、よく来たいと云って来るのですが、些か敬遠でいるから、そんなのでもこの際一緒にして親戚話を東京に移動させたらいいかもしれませんね。東京ではいいことだけを期待して来るお客様は実につらいものです、お察し下さい。こういうときは沁々一人がいやよ。せっせと働いて、あなたどうぞと、お願い致したいと思います、そしたらどんなに気が楽でしょう。細君というものは、変なところで気が弱くて可笑しいものでしょう? これが即ち細君よ。