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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
二月三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 セイロンの風俗の写真絵はがき)〕
只今一日のお手紙拝見、初雪が降ったと思ったら今日は氷雨で初春というより十二月頃の屋根のぬれ方ですね。第一書房は手紙出しました。杏村さんがおかみさんにどんな手紙を書いたんでしょう、第一書房のおやじは麦僊と知り合いで弟の杏村をかついで店を初め、岩波と漱石のような因縁ですね。『ピョートル大帝』の上巻はうちにあります。『谷間の百合』もあります、お送りしていいでしょうか。
二月三日
二月三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 山下新太郎筆「少女立像」の絵はがき)〕
三笠の『風に散る』、『廿日ねずみと人間』などは新本はないでしょう、念のためききますが。古ででも心がけます、私も読みたかったから。
ふとん衿承知しました、せますぎて? 足袋底を丈夫にする作業もどうもうまくゆかず割合ましなのがあってネルが内側についていないからいけないけれど、それでお間に合せいただきます。来年は一工夫してうちで暖かいのを縫いましょうね。男足袋を第一今売り切れだし。玄米はガスが制限で大弱りです、たくのにずっと時間がかかるから。