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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

これを見るにつけ早く丈夫になりとうございます。ちっとやそっとのことにへばらないように。

林町のうらの方(動坂の通までの、あの細かいごちゃごちゃのところ)菊坂のポンプなんか入れないところ、神明町の車庫裏、団子坂下の方は勿論、火に対してはまことに消極な地域で、つまりこのあたりは、かこまれる危険が多いのです。私はいずれにせよ東京の外へ出て暮そうとは考えませんから、猶更よく準備したいと思います。必要なものはよく埋めて、体につけて逃げるものは最少限にしないと又被服廠と同じことでしょう。あの避難して来た人々を見ると、何と万事受身でしょう。薄弱な身がためでしょう、一雨で、しんまでずっぷりの姿よ。雨降への用心、これも大切だと沁々思いました。私は長いレインコートなんかないから、合羽のたためるのを一つ是非買いましょう。

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