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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

体が弱い時には何と云う小さいことがおかしな結果を起すのでしょう。スエコさんと場所を代り、それで私の肝臓病も病源をあきらかにしたと云うわけです。ずっと私は其処に坐って、アッコオバチャンらしく、例えまざった御飯にしろ美味しいようにみんなによそってやっていたのよ。私は御飯をよそうのが好きなの。お風呂の火をたくことも。

今日あたりは空気もやわらいで、もうこの調子でしょう。お金、とりあえずちょんびり送り、明日少しまとめてお送りします。薬、まだよいでしょうか。又少しためてお送りしておいた方が安全ね。

三月二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 都鳥英喜筆「戦傷士の俤」の絵はがき)〕

『衛生学』はもう十一月頃出版されていてそれを只今本屋に注文中です。教材社からは二月中旬にお金を返してきました。第一書房の方はおっしゃるとおりに申してやりましょう。手紙の方へ落したので追加の返事いたします。これも名作展に出ていた一つ。近頃のガタガタの画になれた眼でみると日本人が描いたものかと驚く位です。気候がゆるみましたがお風邪は大丈夫ですか。今年はいつもと違って最近のうちに敷布団の取り変えなどはしておいた方がよさそうです、そのお心づもり下さい。