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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

三月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 川村清雄筆「画室」の絵はがき)〕

三月九日(2)

この画家の大きな絵が食堂にかかっていて、もし爆風をくらえば額の重さとガラスの破片だけで子供の一人や二人は結構片附くから危いことのないうちに処分しようと言っています。もう暫らくすると自分で書けるようになるから、そしたらこの三つのお手紙にたまっている家事的な御返事を致しましょう。かなり細かく知っていただきたいこともありますから。平ったく押してくる火事で、こげはしないが天から直通ではどこへ飛ぶかわからないから、百合子飛散の後でも現実の用事だけは残りますからね。島田行きのこと、私も行きたいけれども秋以後のことと考えて置いた方がよさそうでまだ充分丈夫でないことの他もっと理由がありますが、それは何れ手紙で書きます。わけはお母さんにも申せばすぐおわかりで私の考えに御賛成下さることです。

三月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書 書留)〕

十三日

十二日づけのお手紙をありがとう。

体の工合は大分ましになりました。まだ疲れがのこっているけれども。床はしいてありますが、夕飯などは下へ行って皆とたべて居ります。