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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
こんなこと、毎晩よくよく考えて一つ一つと思いついて計画して、国男さんに云って事務処理をして貰いました。
私は衛生学よりももっとこういうことは知らないから、よく考えないと何も思いつかないで、考えつくためにはよほど頭もしぼるのよ。だから哀れな肝臓が、ヤーこれは珍しい疲れかただ、と音をあげたのでしょう。
あれこれをすっかりすましたら私は、四月早々多分いつか行った上林のせきやあたりへ行きます。夏の間は東京に居ない方がよいと思いますから。
こちらだって戒厳的混乱は生じ得ますから。もう私は東京をはなれるのに所轄へことわって行けばそれだけでいいのだそうですし、山の中の温泉などはいろいろの点でよさそうです。
今まだこまかく予定が立ちませんが、四月から一ヵ月半ほど信州へ行って一寸かえって、改めて東北の方の東京人の入りこまない地方の人が鍋釜もって行くようなところへ行って九月一杯までいて、その間にすこしものも書きためようと思います。岩手の方に今しらべている温泉があり、そっちだと都合して手つだってもらえる十九ほどの娘さんが青森在から来てくれられるかもしれないので。
うちの連中は私一人でゆくことを大変不安がるし、自分も誰かいた方が無理しないから。