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ばくおう

獏鸚

海野 十三

「新青年」博文館、1935(昭和10)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,493 字 · 33 页

青空文庫

ムダマオオソ」マラア」

「これは例の文句を逆さに書いたのだよ。そして、或る間隔をとって、ムとマとが入れ違いになっているところに注意してみたまえ。答はこれしかないと思うのだ、ムとマのところで金庫のダイヤルの廻転方向を右と左とに変えるのだ。だからムとマとが、丁度頃合いの間隔を保って互に入れ違いになっているのだ」

「ほほう」私は帆村の熱心さに駭かされた。

「だが忌々しい畜生! ここまで判っているのに、実際やってみると、巨人金庫はびくりとも動かないのだ」と帆村は唇を噛んで「全くこれ以上の答はないと思う。それだのに開かないとは、ああ、どこが間違っているのだろう」

帆村は紙を抛りだして、頭髪をかきった。

「ねえ、君」と私は恐る恐る声をかけた。「そのマダムが何とかしたという文句もいいが、例の『獏鸚』の方はどうしたのかネ」

「うん『獏鸚』か。あれならもう判っている……」

「ナニ『獏鸚』が判ったって、そいつは素敵だ。早く話したまえ」

私は飛び上らんばかりに悦んだ。怪物「獏鸚」とは、そも何者ぞ!

「だが、玲子の台辞が解けない前には云えないのだ。間違っているかも知れんからね」

「連絡があるのなら、いいじゃないか。