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げんだいのさじゅつ

現代の詐術

坂口 安吾

「個性 第一巻第一号」思索社、1947(昭和22)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,471 字 · 25 页

青空文庫

ちかごろは前代議士とか、取締役社長、そういう然るべきトノサマがやる。

トノサマとは何ぞや。だから私が前章に於てルル申し述べてある通り、目下は中世で、マーケット座、隣組座、野武士、群盗の世界であって、もうトノサマはおらぬ。残念ながら人間もおらぬ。組合員はおるけれども、人間はおらぬ。中世に逆転したが、古代には逆転しなかったからである。

マーケット座の社長が代議士に当選すれば言うまでもなく代議士ではないか。

マーケット座の社長は落選したが、これに類する社長が代議士に当選したのは今までに例の多いことであり、選挙というものはバカバカしいものだ。

然し代議士に限らない。万事センデン、粗悪品でも一応はセンデンでうれる。商業もそうであり、売薬、映画、化粧品、小説も御同様、みんな一応代議士と変りはない。

然し、いくらセンデンしても、本当に粗悪な商品は結局うれなくなる。蚊の落ちない蚊トリセンコウ、火のつかないマッチ、こんなものは人は買わない。配給だから泣寝入り、目下中世であるから、政府も地頭と変りはなく、申すまでもなく野武士の一味で、火のつかないマッチを買わせる腕力があるのである。