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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

の類を数え得るに過ぎない。『唯物論全書』(すでに三十六巻を出す―その後続刊)の出版は唯一の纏った唯物論の高級通俗書の系列であるが、他に著しいものとして主としては白揚社を出版者とする哲学書の著書(永田広志・秋沢修二・岡邦雄・石井友幸・戸坂潤・等)又はソヴェートのテキストの翻訳、ナウカ社版の価値ある相当数の訳書、叢文閣出版の比較的少数の哲学翻訳書等が挙げられる。――科学界から根本に於いては不可欠なものとして待望されている唯物論の研究が、こうした不利な条件の下におかれていることは、特に注意する必要があるだろう。

例えば永田広志は「唯物弁証法最近の展開」(『中央公論』―一九三七・二月号)に於て次のように述べている。

吾が国における唯物論哲学界について一言すれば、ここでは、時局の然らしむる所によって、実践からの哲学の遊離が根本特徴であって、こうした条件の下で避け難い理論的停滞の現象も蔽うべくもない。ミーチン等の労作が理論上の甚だしい逸脱や観念論化のブレーキとなっているとはいい乍ら、このブレーキも段々制動力が無くなりそうである。川内唯彦氏や船山信一氏を初め、有能な学徒が理論活動から去り、加うるに理論活動を指導するような組織もないので、各人はその個人関心に従って色々の分野へ、しかも多くは実際生活からかけ離れた研究分野