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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

巧みに縫って、駛るに得意な点などにかけては、南部駒よりも、三春駒よりも、遥かに優れているのであった。

そういう駒に打ち乗って、丹生川平の男達が、今や丘から走せ下り、森林の中を突破して、宮川茅野雄と醍醐弦四郎とが、切り合っている曠野の方へ、無二無三に押し出そうとしている。

いや押し出そうとしているばかりではなくて、事実無二無三に押し出して来て、瞬間に丘を走り下りて、森林の中へ走り込んだ。

で、その丘のなだらかな斜面は、蹄で蹴られて雲のように、ムラムラと上った砂煙りのために、一時全く蔽われたように見え、啼いていた小鳥の歌声も途絶え、飛び散って咲いていた草の花の、織り物のように鮮麗だった色も、砂煙りの奥へ消え込んでしまった。

が、その時分には騎馬の一団は、森林の中を走っていた。

いかに彼らが馬術に達し、熟練を極めていることか! 灌木があれば躍り越し、喬木があれば巡って進み、沼があれば岸を輪なりに馳せ、網の目のように強靱の蔓が数間に渡って張られてあれば、得物で切り払って突破した。当然の所業ではあったけれども、何とその所作が敏捷で、かつ自在であることか!

と、一団が雁行をなした。