轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
ここは小石川の一画で、大名屋敷や旗本屋敷などが、整然として並んでいて、人の通りが極めて少ない。南へ突っ切れば元町となって、そこを東の方へ曲がって行けば、お茶の水の通りとなる。
その道筋を通りながら、宮川茅野雄は歩いて行く。女巫女の占った運命のことなど、今はほとんど忘れていた。
(仕官しようか、浪人のままでいようか)
この日頃心にこだわっている、この実際的の問題について、今は考えているのであった。
(せっかく仕官をしたところで、長崎仕込みの俺の蘭学を、活用してくれなければ仕方がない。それよりもいっそ塾でもひらいて、門弟どもをとり立てようか)
師匠の青木昆陽が、その世間的の勢力をもって、茅野雄を諸侯に推薦していたが、肝心の茅野雄の心持は、大して進んでいなかった。と云って塾をひらいたところで、はたして生活が出来るかどうか? これが茅野雄には不安であった。どっちつかずの心持で、長崎から帰って今日で半年、ブラブラ遊んでいるのであった。放胆で自由で新智識で、冒険心もある茅野雄だったので、そういう今のような境遇にあっても、あえて焦心りはしなかったが、多少の屈託にはなっていた。