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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

剣だの巻軸だの寺院だのの形で、充たされているのが異様であった。

と、この一団だが近づいて来て、茅野雄の前までやって来ると、予定の行動ででもあるかのように、足を止めて松火をかかげた。

そうでなくてさえ茅野雄にとっては、もの珍らしい一団であった。ましてや足を止められたのである。必然的に彼らを見た。

と、「おや!」という驚きの声が、茅野雄の口から飛び出した。

その一団の先頭に佇み、茅野雄を見ている老人があったが、昼間茅野雄に道を教えた、老樵夫その人であったからである。

と、老樵夫は腰をかがめたが、恭しく茅野雄へお辞儀した。

「お迎えに参りましてござります。ご案内いたすでござりましょう。どうぞ輿へお召しくださりませ」

(驚いたなア何ということだ。俺には訳が解らない)

茅野雄は老人へ云った。

「親切に道を教えてくれた、お前は先刻の老人ではないか。何と思ってこのようなことをするぞ?」

しかし老人は茅野雄の言葉へ、返辞をしようとはしなかった。

「お迎えに参りましたのでござります。ご案内いたすでござりましょう。どうぞ輿へお召しくださりませ」

こう繰り返して云うばかりであった。