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せいかつのなかにあるびについて
生活のなかにある美について
宮本 百合子
「アトリエ」1941(昭和16)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,372 字 · 9 页
従って、ぶらぶら歩きの視線にふれて来る程度のものは、ちよくな、これも面白い、という程のものなのだろうし、又今日は一般の人の目がそういうものにひかれやすくなってもいるのが実際だろうと思う。
使っていい金が世間にあっただろうし、そういう金が流れているだけに物は悪くて高くなっているのだから、茶碗一つを買うにしろどうせもとの考えかたでやすくて使えるものがなくなっているのならば、と人々の目は一寸目先の変った品物へひかれるのである。
それともう一つは、各方面に日本的なものの見直しがあって、そこには日本の美を真に見直そうとする愛の目醒めと同時に、皮相の風潮としてのそういうものもある。そして、そのことでは、面白いことに丁度外国人が日本の美というと古典しかわからないように、日本の美というと古いものにしか目を向けられないでいる傾きもある。
世の中の勢は益々画一へ向い、工場でも小さな工場は併呑されて消えて行っている一方で、人々の感情に郷土的な品物や極めて手工業的な製作品が新しい興味を呼びさまして来ている関係は、今日の日本の文化の心理として案外に微妙であり重大でもあるのではないだろうか。