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せいかつのなかにあるびについて

生活のなかにある美について

宮本 百合子

「アトリエ」1941(昭和16)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,372 字 · 9 页

青空文庫

或る時期の文化の中で、こういう分裂の現象があらわれて来ることは見過されてならないことだろうと思う。

生活の片隅から親愛な美しさが失われてゆく感じから我知らず郷土的な風趣のあるものだの、げてものの面白さだのを求めている人々の生活にしろ、つまりはそれらのものを外から運びこんで生活のあすこ、ここに置いているだけのことで、つきつめて云えば一種の消費が形を変えたものに過ぎない。生活の面に飾られ、置かれ眺められているだけのことで、生活の内部からつくられたものでないことは否めない。

郷土的な物産にしろ、それならばそれぞれの地方で一般の人たちがそういう製作品の味いで日常生活を特色づけ豊かにしているかと云えば、今日ではその地方を潤す色彩としてよりも、寧ろ郷土物産として都会へ売り出される目的でつくられる方が多いだろう。嘗てはそれぞれの土地の人の毎日の裡におかれた生活に即した美しさは、今やもっと迫った経済の関係で外部へ吸い出されている。

柳宗悦さんたちのやって居られる『月刊民芸』という雑誌の座談会で、誰かが、この頃やっといくらか人々が物の美しさに目をとめて来たようだ、と云っておられる今日の傾向は、そういう訳で、決して単純な動機であると云えない。