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たばたのさか
田端の坂
宮本 百合子
「文芸春秋」1927(昭和2)年9月特別号(芥川龍之介追悼号)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,809 字 · 4 页
どんな題目だったかちっとも覚えていない。感心したり、同時にこの頃の芥川さんは、ああ話す好みなのかと思って眺めた感じが残っています。作品についても同じ二様の心持が私の内に働いていた。陶器や書籍店の話が出て、私は Gaugh? のカタログを翌日送って上げた。
その他公開の席でちょいちょい会うきりで、その俥に乗って田端の坂を登って行った時以上私の友としての心持は進みませんでした。
七月二十四日に私は母を連れて福島県の田舎へ出立した。二十六日の昼頃、私の友達からの電報、新聞、ハガキ一度に来て、芥川さんの死なれたことを知った。急に立って東京に向ったが、汽車の中で日日新聞に出ていた小穴隆一さんのスケッチを見、涙が迫って堪え難かった。あのスケッチを見た人は誰でも芥川さんがいとしいと思ったでしょう。純なよきものが現れていて、これを描いた人はどんなに彼を理解し愛していたか、また愛されるだけのよさ、心のよさ、小心な位のよさを持った彼であったかが感じられた。(写真はどれも大抵きどっていた)
柩が白い花と六本の小さい蝋燭に飾られ、読経の間に風が吹いて、六つの光が一つ消え、一つ消え、段々消えて、最後まで左右に一つずつの燭が風に揺れながら灯りつづけた。