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だんじょこうさいよりかていせいかつへ

男女交際より家庭生活へ

宮本 百合子

「女性日本人」1922(大正11)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,488 字 · 35 页

青空文庫

それは、勿論、日本の若い母親のように、暇さえあれば膝に赤児を抱いてもいなければ、歩くに背に負いもしません。日本では、一般に理窟なく、只、「子にほだされる」のを一種の美しい人情として余り過重視してはいませんでしょうか。

子供が一人生れると、朝から晩までその為に費され、本を読む暇もないのを、忠実な母の多忙と認めすぎてはいませんでしょうか。

その点では、彼地の母親は可なり考えかたが異っていると思います。彼女等は、先ず、出来る丈深い専門的知識から、子供に必要な、哺乳、散歩、沐浴、衣服交換等の時間表を拵えます。発育に従って種々な変動は起っても、兎に角大体子供の時間表に準じて、今度は自分の仕事を割り当てます。保姆を置くような家庭では、主婦の自由時間はいくらでもありましょうが、普通の下女なしの家や、一人位の助手を雇っている処では、なかなか母に余裕はありません。そこを巧に繰廻し、乳母車に載せて、公園の静かな小路に散歩させる時を、同時に自分の遊歩時間にあてる。又は、三時間目なら、三時間目の哺乳と哺乳との間を抜けて、自分でなければ分らない用事を果す為に外出する。一体、あちらでは、立ち上る位までになった子でない、ほんの嬰児は、多くの場合、彼等の小さい揺籃の中に臥されています。