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ちょうないのにてんさい
町内の二天才
「キング 第二九巻第一四号」1953(昭和28)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,836 字 · 26 页
「イエ。見た人がそう云うんですよ。てんで問題にならないッてね。スピードといい、カーブといい、コントロールといい、ケタがちがうッて。町内の見てきた人がみんなそう云ってますよ。明日は町内の学校はてんで歯がたたないッてね。応援に行っても仕様がないやなんて、みんなそう云ってましたよ」
「誰だ、そんなことを云ったのは。長助にヤキモチやいてる奴だろう」
「受持の先生も、そう云ってましたよ」
「あいつは長助を憎んでいるらしいな。第一、町内の奴らには、投球の微妙なところが分りゃしねえ。長助の左腕からくりだすノビのある重いタマ、打者の手元でキュッとまがる。このタマの凄さは打者でなくちゃア分りゃしねえよ。よーし。明日の試合を見てみやがれ」
思わぬ伏兵が現れた。こうなると、自分の倅のことだから、メメズ小僧と正坊の対局よりも心配だ。町内の者も、母校の生徒も、応援に行ってもムダだから行かないと云ってるそうだから、金サンは亢奮のためにその前夜は眠ることができない。
「ベラボーめ。県下の少年選手なんぞが、長助の投球がうてるかい。高校野球の選手だって、めったに歯が立つ筈がねえや。この夏休みの猛練習以来、長足の進歩をしていることを知らねえな」