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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页
彼は見るからに実体な男であった。
その西瓜を作り出した小原の家については、筆者はなんにも知らなかったので、それを再び稲城に聞きただすと、八太郎も考えながら答えた。
「近所でありながら拙者もよくは存じません。しかし何やら悪い噂のある屋敷だそうでござる。」
それがどんな噂であるかは、かれも明らかに説明しなかったそうである。筆者も押し返しては詮議しなかったらしく、原文の記事はそれで終っていた。
三
「はは、君の怪談趣味も久しいものだ。」と、倉沢は八畳の座敷の縁側に腰かけて、団扇を片手に笑いながら言った。
親類の葬式もきのうで済んだので、彼は朝からわたしの座敷へ遊びに来て、このあいだの随筆のなかに何か面白い記事はなかったかと訊いたので、わたしはかの「稲城家の怪事」の一件を話して聞かせると、彼は忽ちそれを一笑に付してしまったのである。
暦の上では、きょうが立秋というのであるが、三日ほど降りつづいて晴れた後は、さらにカンカン天気が毎日つづいて、日向へ出たらば焦げてしまいそうな暑さである。それでもここの庭には大木が茂っているので、風通しは少し悪いが、暑さに苦しむようなことはない。