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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页

青空文庫

無事に済んでしまったのだが、その以来、その西瓜畑に婆さんの姿が時々にあらわれるという噂が立った。これは何処にもありそうな怪談で、別に不思議なことでもなかったが、もう一つ『その以来』という事件は、又左衛門の家の者がその畑の西瓜を食うと、みんな何かの病気に罹って死んでしまうのだ。主人の又左衛門が真っ先に死ぬ、つづいて女房が死ぬ、伜が死ぬという始末で、ここの家では娘に婿を取ると同時に、その畑をつぶしてしまった。それでも西瓜が祟るとみえて、その婿も出先で西瓜を食って死んだので、又左衛門の家は結局西瓜のために亡びてしまうことになったのだ。もちろん一種の神経作用に相違ないが、その後もここに住むものはやはり西瓜に祟られるというのだ。」

「持主が変っても祟られるのか。」

「まあそうなのだ。又左衛門の家はほろびて、他の持主がここに住むようになっても、やはり西瓜を食うと命があぶない。そういうわけで、持主が幾度も変って、僕の一家が明治の初年にここへ移住して来たときには、空家同様になっていたということだ。」

「君の家の人たちは西瓜を食わないかね。」と、わたしは一種の興味を以って訊いた。