轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぎわく
疑惑
江戸川 乱歩
「写真報知」報知新聞社、1925(大正14)年9月15日、25日、10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 37 页
親父は古風に、ハンカチを嫌って、手ぬぐいをたたんで懐に入れているくせだったし、母親や妹は、ハンカチは持つけれど、無論女持の小さい奴で、まるで違っていた。だから、そのハンカチを落したのは、兄貴かおれかどちらかに相違ないのだ。ところが、おれは親父の殺される日まで、ずっと四五日の間も、その庭へ出たことはないし、最近にハンカチをなくした覚えもない。とすると、その親父の死がいのそばに落ちていたハンカチは、兄貴の持物だったと考える外はないのだ」
「だが、お父さんが、どうかしてそれを持っていられたという様な……」
「そんなことはない。親父は、外のことではずぼらだけど、そういう持物なんかには、なかなか几帳面な男だった。これまで、一度だって、他人のハンカチを持っていたりしたのを見たことがない」
「……しかし、若しそれが兄さんのハンカチだったとしても、必ずしもお父さんの殺された時に落したものとは限るまい。前日に落したのかも知れない。もっと前から落ちていたのかも知れない」
「ところが、その庭は、一日おき位に、妹が綺麗に掃除することになっていて、ちょうど、事件の前日の夕方も、その掃除をしたのだ。