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はっくつしたびじょ
発掘した美女
「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页
「ありがとう」
「ここは鉱泉で、ワカシ湯だから、入浴は朝の七時から夜の九時までだが、日中はあの滝にうたれた方がよい」
木ノ葉天狗は窓から見える滝を指した。大人の背丈の三倍ぐらいの滝であった。水量はかなり豊富だ。そして滝壺が広く、岩と木々にかこまれて美しかった。
「あの滝にうたれる?」
木ノ葉天狗はうなずいて、
「あれが、黒滝だ」
その黒滝を知らない人はないものと心得ている言い方であった。そして、それを云い終ると、立って、黙って、立ち去った。
まもなく、この山のことなら何から何まで知っているという道案内の年寄りを紹介のためにつれてきた。その老人は木ノ葉天狗とはアベコベに、おかしいほどマン丸い顔であった。その顔全体がシワだらけで、安物の赤いノリでつつんだお握りのようであった。木ノ葉天狗もお握りも先祖代々この山中の住人だそうだ。
三人の考古学者はあとで噴きだして、語り合った。
「この旅館は全然原始人の経営ですね」
「それにしては、自家発電もあるし、ワカシ湯もあるし、進取の気象に富んでるじゃないか」
「それでいて、滝にうたせようッて気持が分らないわね」
「そこが本能のアサマシサですよ。