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しろいあさ
白い朝
豊島 与志雄
――「正夫の童話」――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,920 字 · 35 页
そして後に、社員多数の会合の席で公言しました。「僕は本社の株を百株買うことによって、七千円余りの借金が出来た。然し、社の株券はなるべく社員が所有すべしという原則に忠実であることによって、それを自ら誇りとしている。云々。」――そういうことは、変った人だという印象を与える以外の効果はありませんでしたし、社内に勢力を得ることにはなりませんでした。然し芝田さんの真意がどういうところにあったかは、誰にも分りません。その上、芝田さんは実際、変った人でした。一方では、塗料会社の調査課長でありますが、他方では、芝田理一郎といえば、相当有名な評論家であります。文芸方面に関心を持つ社会批評家として、新聞雑誌の上に時折活動しているのです。
ところで、その会社の内部に、紛擾が起って、二派に分れて勢力争いとなりました。そうなると、評論家として社会的に名を知られてる芝田さんが、目につきますし、両派とも芝田さん引込策を講じました。芝田さんはどちらに対しても、「先ず会社全体の立前から……。」という答弁で、更に要領を得ません。それになお、芝田さんは内々、会社の金を多少流用してる疑いもあるようです。